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 バックナンバー一覧メルマガ登録・解除・変更お問合せ 2003/10/29配信

いつまで元自衛官?

 新聞の見出しで、ときどき「元自衛官」という言葉を見かけることがあります。こういう場合、その元自衛官はたいてい犯罪者として逮捕されたとか検挙されたという内容で、良いことをして褒められたという記事は見たことがありません。

 犯罪を犯したという記事のほかには、たとえば風俗店で働くニューハーフが元自衛官だったということが、とりわけ珍しそうに取り沙汰されることがあります。男くさい自衛隊からニューハーフの世界へ、そのギャップが珍しいのでしょう。

 では、元自衛官というのは、どんな人なのでしょうか。元は自衛官なのだから、自衛官だったことがある人という意味になります。普通に解釈すれば、そういうことです。

 自衛官には服務の宣誓をする義務があって、早い話が「国防のためには命を惜しみません」という誓約書に署名捺印して、はじめて入隊が認められることになります。極論すれば、この書類にハンコを押した直後に「やっぱり辞めます」と言って依願退職しても、法的には元自衛官なのです。何の訓練もしていない、敬礼すらまだ習っていないのに、ですよ。

 だから、元自衛官として新聞に載った犯罪者の中には、2年または3年の任期を全うしないで、任期半ばで依願退職したか、それとも脱走してクビになったか、そんな輩も少なくないのです。

 ニューハーフの例でも同じです。「自衛官だったことがある」というから、どこの部隊でどんな仕事をしていたのかと思ったら、入隊後たった1ヶ月で逃げ出していたという人がいました。入隊後1ヶ月といえば、新隊員教育の前期課程です。やっと小銃の射撃を体験するかしないかといった時期です。

 あるいは、任期満了又は定年で退職しても、その後永らくサラリーマンだったり自営業だったりした人で今は別の職業に就いている場合には、元会社員とか元自営業と呼ぶのが適当ではないかと思うのです。もちろんたった1ヶ月で逃げ出すような輩は論外です。幹部や曹で退職した人は、依願退職でも「元自衛官」で差し支えないでしょう。でもやはり陸士(海士・空士含む【注】)ならば、任期を全うしてこそ初めて「元自衛官」と呼ばれる資格があると思うわけです。

とくに脱走した挙句の依願退職を、「元自衛官」と呼んで欲しくはないですね。

【注】
自衛隊には幹部・曹・士の階級区分があって、旧軍の士官・下士官・兵に相当します。
陸上自衛隊を例に取ると、士は「陸士」といい、上から陸士長、1等陸士、2等陸士というランクになっています。尚、2等陸士の下に3等陸士が置かれていますが、これは少年工科学校の生徒1年生にのみ与えられる階級で、一般の部隊には存在しません。

 陸士の上は曹で、陸自では「陸曹」といいます。上から陸曹長、1等陸曹、2等陸曹、3等陸曹とあって、曹長、1曹は小隊長の補佐をする小隊陸曹または小隊長となり、2曹、3曹は班や組といった小部隊の指揮官になります。また陸士は2年任期で勤務する任期制隊員、陸曹以上はいわゆる職業軍人で、任期ごとの継続任用ではなく定年制となります


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