ひらやんのブツクサ独り言   ON WEB
 バックナンバー一覧メルマガ登録・解除・変更お問合せ 2003/11/12配信

ラッパは通信手段

 陸上自衛隊の日常は、まず起床ラッパの号音で始まります。こういう話を友人とか親戚の人たちにすると、
「えっ!? 自衛隊もラッパか?」
 と、驚かれます。

通信機が破損したり、ほかに適当な手段が確保できない場合のために、今でもラッパが残されています。
通常は起床、点呼、食事、命令会報、課業始め、課業終わり、消灯など日課時限を知らせるために吹奏されます。ですから自衛隊には正規のラッパ教育を受けた「ラッパ手」がいるのですが、式典など特別の場合を除いてはテープに録音したものをスピーカーで流していて、ラッパ手が生で吹奏することは少なくなりました(部隊や駐屯地によっては生演奏している場合もあります)。

 余談ですが、生吹奏が少なくなった裏には、ラッパ手の質の低下が指摘されているようです。ラッパの音は駐屯地の外にある一般市街地にも聞こえます。
吹奏がヘタクソだと恥ずかしいので、式典のときだけ各部隊から選りすぐりのラッパ手を集めて吹奏させるというのですが、事の真偽は定かではありません。

 ラッパは通信手段のひとつですから、あるていど意思を伝える機能が必要です。たとえば数字の0〜9にはそれぞれ短いメロディが決められていて、その組み合わせで何桁の数字でも伝えることができます。また「集まれ」「気をつけ」「休め」「指揮官」など主要な用語にもメロディがあって、うまく組み合わせると簡単な文章を伝えることもできるのです。

 陸上自衛隊で使用されているラッパは「三つ巻90式」といい、ト調に調律されています。トランペットのようにシリンダーを押さえて音階を変えるのではなく、唇の形を変えてラッパ手自ら音を作るのです。ですから信号ラッパは「低ド、低ソ、ド、ミ、高ソ」の5段階の音階しか出せません。が、長い曲、短い曲あわせてあれだけ多種多様なメロディが作られています。

 ラッパ手はおおむね2〜3ヶ月の訓練期間に、まず音を出すことから練習を始めて、日課号音はもちろん「速足行進」「駆け足」「送迎」「栄誉礼」「非常呼集」「化学警報」「空襲警報」など訓練や式典で使用される曲をすべて暗誦させられます。これができて初めて一人前のラッパ手と認められるわけです。

 ちなみに、国旗掲揚のときにラッパで吹奏される「君が代」は、吹奏楽で馴染みのあるメロディとは似ても似つかぬものです。


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