ひらやんのブツクサ独り言   ON WEB
 バックナンバー一覧メルマガ登録・解除・変更お問合せ 2003/12/17配信

上下関係の話

 軍隊一般から離れて、とくに自衛隊に限定した話です。
 
 自衛隊の上下関係は階級で決まります。年齢は関係なく、たとえ自分のほう
が年上でも、年下の上官や先輩には敬語で話さなければなりません。たとえば
18歳の1等陸士と26歳の2等陸士がいるとします。18歳の1等陸士は高校を卒
業してすぐ入隊した若手で、26歳の2等陸士は数年間の社会人経験があります。
一般社会ならば、当然に26歳のほうが年齢で幅を利かせる立場になるはずですが、自衛隊では階級がひとつ上の1等陸士のほうが上なのです。年齢で幅を利かせようとしても、階級の差がそれを許さないのです。

 では年齢が同じ、階級も同じ、入隊がひと月違いという場合(よくあります)はどうなるかというと、ひと月早く入隊したほうが当然に「先輩」です。ひと月あとから入隊した「後輩」は、この差を縮めることができないのです。

 ただ、あまりにも杓子定規だと、やっぱりかえってギクシャクすることがあります。年齢が近くて階級も同じかひとつ違うぐらいなら、仲が良くなってくれば、タメ口で話しても不自然ではありません。また、階級が違っても同期入隊どうしなら対等に口を利きますし、後輩のほうが階級で先輩を追い越しても、先輩を呼び捨てにはできません。

 即応予備自衛官と常備自衛官では、上下関係がもうすこし微妙になってきます。即応予備自衛官はかつて現職で勤務して、今は予備役という立場です。昇任制度はありますが、常備自衛官ほどのスピードでは上がって行きません。ですから即応予備自衛官より何年も後輩の常備自衛官のほうが、階級では一つか二つ、あるいはそれ以上の階級になっているのです。たとえば私は即応予備3等陸曹ですが、私が任期満了で退職したあとに入隊した後輩が2等陸曹になっている例は珍しくありません。

 こういう場合、私は3等陸曹として常備自衛官の2等陸曹に対しますが、先方は私を「自衛隊の先輩」としての態度で接してくれます。訓練では私のことを「○○3曹」と呼び、訓練が終われば「○○さん」と「さん」づけで呼ばれるのが慣例化しています。だからといってこちらも先輩風を吹かせるのではなく、召集期間中は自衛官として勤務しているのですから、たとえ自分よりあとから入隊していても、階級を尊重して敬語で話すようにしているのです。

 階級の上下が絶対的な組織にあっても、そこは人間の集団です。馴れ合いにならないようにけじめをつけながら、お互いにうまく付き合っているのです。


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