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 バックナンバー一覧メルマガ登録・解除・変更お問合せ 2003/12/31配信

Honcho

 Honchoという英単語があります。ローマ字読みだとホンチョーになりますが、正しい読み方は「ハンチョー」です。

 日本語がそのまま英語化した言葉には「ゲイシャ」「スシ」「ツナミ」などがあります。じつはこの「ハンチョー」も元日本語で、語源は「班長」です。

 Honchoがアメリカ社会に入ったのは、太平洋戦争で日米が死闘を繰り広げていた昭和17年頃といわれていますが、戦争中のことゆえ確定的な情報ではありません。しかし太平洋に点在する島々で米軍の捕虜になった日本兵が、下士官を「班長」と呼んでいたのを米兵が真似て使うようになったのは事実のようです。

 「班長」と呼ばれた下士官は、とくにどこかの班を任されているわけでなくても、班長をやるべき階級にある者の俗称として「班長」と呼ばれるのがならわしでした。それが今の自衛隊にも引き継がれ、営内班長や戦闘単位としての班長がほとんど陸曹の役職であることから、陸曹には「班長」と呼びかけるのが習慣化しているのです。とくに名前の分からない陸曹を呼ぶときにはたいへん便利で、とりあえず「班長」と呼びかければ返事をしてくれます。

 英語のHonchoに話を戻すと、全米的に広がったのは太平洋戦争がおわった数年後、朝鮮戦争の頃だといわれており、館長、村長、酋長、番長など組織の責任者を指す単語として定着しました。ですからHonchoは、いわゆる「米語」であり、同じ英語圏の国でもイギリスでは通じないのだそうです。

 日本語でいう「班長」は現場で指揮を執る小部隊のリーダー的役職ですが、英語の意味では必ずしもそうではないようで、たとえば「社長」など組織のトップに立つ人を指す場合には「Head」をつけて「Head honcho」という言い方をします。複数形はそのまま「s」をつけて「Honchos」で通じます。日本語が英語に旨く馴染んだ好例といえるでしょう。

 ちなみにアメリカ映画で時代設定が太平洋戦争以前になっている場合、リーダーを指す単語に「Honcho」が出てくれば、時代考証がしっかりできていないということになるわけですね。探してみると面白いかもしれません。


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