ひらやんのブツクサ独り言   ON WEB
 バックナンバー一覧メルマガ登録・解除・変更お問合せ 2004/1/28配信

マスコミの軍事音痴

陸上自衛隊のイラク先遣隊がついにイラク領内に入り、宿営予定地の視察や連合国暫定当局(CPA)との情報交換などを行なっています。

 イラク派遣に反対の論陣を張るサヨク系ジャーナリストの中には、これは本隊をイラクへ呼ぶへための準備だといって非難している人がいます。先遣隊の任務はそもそも現地の治安状況の調査ということですが、本隊の派遣が正式に決定された場合に備えて、受け入れ準備も並行して行なうのは当然に必要なことです。もはやイラク派遣を阻止することが適わなくなって、なんでもかんでもイチャモンをつけているようで極めて見苦しい。こんな人たちと同業者だと思うと、情けなくなってきます。

 さて、今回の先遣隊に関する報道でも、例によって日本マスコミの軍事音痴ぶりが遺憾なく発揮されています。

 自衛隊がイラクへ持って行った車輌は〈高機動車〉と〈軽装甲機動車〉の2種です。自衛のための火器として、車輌には機関銃を搭載し、隊員は89式小銃を携行しています。ここ数日のマスコミ報道を見ていると、どうも小銃と機関銃の区別が分かっていないのではないかと思うことがあります。

 89式小銃は自動小銃で(いまどきボルトアクションの小銃なんか使ってませんが)、引き金を引くごとに1発ずつ発射する「単発」、引き金を引いている間発射し続ける「連発」、引き金を引き続けても3連発でいったん止まる「3連射」と、3段階のモードを切り替えることができます。連発モードで発射すると機関銃のように連射できるうえに、長さ1メートル弱の軽火器ですから、武器に関して知識のない記者はこれを見て「軽機関銃」だと錯覚するのかもしれません。

 見慣れてくれば機関銃と小銃の名称を知らなくても、外観を見て区別できるようになります。しかし慣れないうちは、外観をひとつひとつ丸暗記してもらうほかありません。

 その次に多いのは、武装している車輌をなんでもかんでも「戦車」と表現するクセが抜けていないことです。戦車と自走砲の区別がつかないのはまだ分かりますし、素人なら許せる範囲の間違いです。ところが砲を装備していないAPC(装甲人員輸送車)を戦車と間違えたり、極端なものになると軽装甲機動車のことを戦車と呼んでいる例も見られました。

 取材対象が自衛隊ならば、少なくともどんな装備でイラクへ派遣されているのか、その装備がどんな名称でどんな機能を持っているのかという知識を事前に勉強しておくことは、ジャーナリストとして最低限度の常識です。予備知識なしでは、手元に入ってくる情報を正確に理解できないし、理解できないということは誤報を流してしまうおそれがあるわけです。それを日本にいる新聞の読者やニュースの視聴者が鵜呑みにしてしまったら……と考えると、現地で取材することの責任は極めて重いと言えます。

 日本のマスコミに関していえば、残念ながら戦場報道をこなせるレベルではないといって過言ではありません。


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