ひらやんのブツクサ独り言   ON WEB
 バックナンバー一覧メルマガ登録・解除・変更お問合せ 2004/3/3配信

取材の目的

 即応予備自衛官という、自衛隊内部でも未だよく知れ渡っておらず、ましてや民間の世界には知っている人を探すほうが難しい身分をいただいていると、どこから嗅ぎ付けて来るのかマスコミから「取材の申し込み」を受けることがあります。しかも「自衛隊員として受けてほしい」と言われるのです。私が物を書く仕事をしていることで「同じ業界」という気安さがあるのかもしれません。

 最初に取材の申し込みを受けた相手は、もうすぐキャスターが交代することになっている某局の世論操作番組でした。表向きは報道番組ですが、キャスター個人の独善的な自衛隊批判には定評があります。

 番組のデスクだと名乗る女性が言うには「自衛隊でのセクハラ問題を取り上げる企画を立てていて、自衛隊には実際にどれくらいの事例があるのか、分かる範囲でいいから聞かせてほしい」と。具体的に質問されたのは「自衛隊員のセクハラというのは、どんなものか」「どんな場所で行なわれるのか」「どんなやり方があるのか」など、わざわざ東京から大阪まで長距離通話で訊くようなものではありません。だいたいセクハラのやり方なんて、民間と自衛隊とでそんなに違いのあるものでしょうか?

 話しているうちにだんだんバカらしくなってきたのと、この女性デスクが基本的に自衛隊を国家機関として理解していないことが分かってきたので、「自衛官という生き物はいないのです。人間が職業として自衛官をやっているのですから、民間で起こり得ることは自衛隊にもありますよ!」と、半ば怒鳴りつけて電話を叩き切りました。
 ちなみにその企画が実際に番組化されて、放送されたかどうかは定かではありません。

 次にまた「自衛隊員として――」という条件で取材を申し込まれたのは、ついひと月ほど前のことです。

 芸能人のスキャンダルをあることないこと、ろくに取材もしないで書き殴っている三流週刊誌の記者からでした。
「ネットで検索していたら、先生が自衛隊員であると出ていましたので……」

 言っておきますが私は、先生と呼ばれるほど落ちぶれてはいないつもりです。
私が最も嫌がる呼び方をしてくれたこの記者君が言うには、
「自衛官の性生活について特集を組むことになりまして――」

 マスコミという世界は、いったい自衛隊をどんなところだと思っているのでしょう? 自衛官だって戦後の教育を受けたふつうの日本人です。特集を組まれるほど特別変わった性生活なんて、偏見にもほどがあります。

 ふつうに断ったのでは面白くないので、この記者君には「えーとですね、即応予備自衛官である私に取材をしようとするときは、まず防衛庁の広報に連絡を取っていただきまして、○×旅団のひら○○氏に取材したい旨を申し込んでいただければ、内部で御社を審査した上で取材を許可するか否かの連絡が行きますので、まずは防衛庁のほうへ話を通してもらえますか」と、からかってやりました。

 役所に内緒で自衛隊員を取材しようとしていたのであれば、これで諦めるはずです。なんせ「自衛官の性生活」ですからね、役所に伺いの出せる企画ではないでしょう。

 時節柄でしょうか、私の仲間内にもいろんな媒体から密かに取材の打診があるようです。

 もしこれをお読みのマスコミ関係者がおられるなら、一言申し上げておきます。自衛隊のイラク派遣に関して、隊員個人がコメントすることは一切禁止されています。道端でマイクを突きつけてコメントを取ろうとしても、それは無駄な努力です。彼らは余計なことは喋りません。取材をなさりたいなら、筋を通していただきたくお願いいたします。


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