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 バックナンバー一覧メルマガ登録・解除・変更お問合せ 2004/3/10配信

自衛隊の階級呼称

 自衛隊がイラクで活動を開始したことに関連して、現地での状況が連日報道されています。相変わらず「日本のマスコミは自衛隊の“じ”も予備知識を入れてないなぁ」と思うことのひとつに、階級呼称が各局バラバラであることが挙げられます。

 派遣隊の指揮官である「番匠幸一郎1等陸佐」を、ある局は「番匠隊長」と呼び、別のある局は「番匠指揮官」と呼び、またある局は「番匠1佐」と呼んでいます。

 自衛官には階級がありますから、名前のあとに階級をつけて呼ぶことは知っていても、具体的にどう呼んでいいのか分からないのでしょう。自衛隊担当とかイラク特派員といってみたところで、ふだんから生身の自衛官と交流していないと、こういうところで「階級呼称すら正しくできない」予備知識のなさを自ら暴露してしまうのです。

 某局のように「○○指揮官」とか「○○隊長」は、適切な呼び方ではありません。「隊長」とは「隊」の指揮官のことです。陸上自衛隊で「隊」とは、たとえば対戦車隊とか衛生隊などのように、中隊より大きく大隊より小さな独立部隊のことですから、連隊長あるいは群長クラスの指揮官を務める1等陸佐に対して「隊長」と呼ぶのは、民間企業に例えれば部長に対して「課長」と呼びかけているようなものなのです。要するに無礼なのであって、番匠1佐に対する敬称としては甚だ不適切ということになります。

 同様に「○○指揮官」という呼び方も、自衛隊内部ではしません。たしかに部隊の指揮官ではありますが、敬称として「指揮官」をつけることはありません。
 イラク派遣隊指揮官の「番匠幸一郎1等陸佐」の呼び方としては「番匠1佐」が一般的です。ちなみに「1佐」は「いっさ」と発音し、諸外国の大佐に相当する階級です。某局のようにどうしても指揮官であることを強調したいならば、「指揮官の番匠1佐」とするのが自然です。

 似たような例に、ある陸曹を「○○陸曹」と呼んでいる局がありました。陸曹の階級には下から3等陸曹、2等陸曹、1等陸曹、陸曹長の4段階あります。
たんに「○○陸曹」だけだと、どの階級なのか分かりません。仮に2等陸曹ならば「○○2曹」、陸曹長なら「○○曹長」と呼ぶのが一般的です。海上自衛隊では「○○海曹」などと呼ぶのが一般的だと聞いたことがありますが、陸上自衛隊では「○○陸曹」という呼び方はしていません。

 おそらく陸上自衛隊だけが旧軍から継承している習慣で、陸曹を「班長」と呼ぶことがあります。名前の分からない陸曹に呼びかけるとき「班長」と呼べば、とりあえず返事をしてくれます。旧軍の下士官に相当する陸曹は「班長」として小部隊の指揮官を務めるので、実際に班長の職に就いていなくても「班長」と呼ぶのが習慣化しているのです。


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