ひらやんのブツクサ独り言   ON WEB
 バックナンバー一覧メルマガ登録・解除・変更お問合せ 2004/4/7配信
自衛隊流、数のかぞえかた

 自衛隊には一般の人には理解しづらい特殊な用語が数多くあります。たとえば《物干場》と書いて「ものほしば」ではなく、なぜか「ぶっかんば」と読ませたり、《灰皿》は「はいざら」ではなく《煙缶》と書いて「えんかん」と読ませたりします。

 数字の読み方も例外ではなく、自衛隊独特の言い方があります。

 よく知られているのは《1》を「ヒト」読ませることです。同様に《0》は「マル」となります。もっともこれは通信用語ですから、自衛隊だけがこの読み方を採用しているというわけではありません。無線通信では電波の状態で感度が大きく変わるので、なるべく聞き間違いを防ぐ工夫としてこのような読み方が考え出されたのでしょう。ちなみに0から1までは次のような読み方になります。

 0(マル)、1(ヒト)、2(ニ)、3(サン)、4(ヨン)、5(ゴ)、6(ロク)、7(ナナ)、8(ハチ)、9(キュウ)
 
 ただし《2》を「フタ」と読ませる場合もあります。

 時間を言い表すときは「時」「分」を省略します。たとえば《1200》は「ヒト、ニ、マル、マル」と読み、12時ちょうどを意味します。したがって《1230》は「ヒト、ニ、サン、マル」で12時30分。自衛隊では時間の言い方も書き方も24時間表記ですから、午後2時5分ならば《1405》と書いて「ヒト、ヨン、マル、ゴ」と読みます。
 
 さて、このように特殊な数字の読み方をするのですが、部隊名を言い表すときは“ふつうに”読みます。たとえば《第10師団第49普通科連隊第2中隊》は「だいじゅうしだん、だいよんじゅうきゅうふつうかれんたい、だいにちゅうたい」となります。《第10師団》を「だいヒトマルしだん」と読んだり、あるいは《第2中隊》を「だいフタちゅうたい」とは読まないのです。

 部隊名を略して呼ぶときに、多くの場合、部隊ナンバーの「第」を外して呼びます。前出の例でいうと《第10師団》なら《10師団》で、読み方は「じゅっしだん」となります。「第」の字を外して単純に「じゅうしだん」とはならないのが面白い現象であり、一般の人が大いにとまどうところです。

 《第49普通科連隊》は、たんに「よんじゅうきゅうれんたい」またはナンバーだけ取って「49(よんきゅう)」という言い方をします。同様の例で《第37普通科連隊》は「37(さんなな)」、《第36普通科連隊》は「36(さぶろく)」となります。ただし部隊ナンバーが1ケタの部隊、たとえば《第7普通科連隊》を「7(なな)」とはいいません。これではちょっと間の抜けた感じになるので、「7連隊(ななれんたい)」または「7普連(ななふれん)」という呼び方になります。

 ただ、これらは普通科連隊の呼び方であって、他の職種部隊はまたそれぞれに略称のつけ方が違うので、とってもややこしいのです。戦車部隊を例に取ると、《第3戦車大隊(だいサンせんしゃだいたい)》の略称は「3戦車(さんせんしゃ)」です。第10師団隷下にある《第10戦車大隊(だいジュウせんしゃだいたい)》は「10戦車」と書いて「じゅうせんしゃ」とは読まず、師団の略称と同じく「10」を「じゅっ」と読ませて「じゅっせんしゃ」となります。

 もうひとつややこしいのは中隊の呼び方です。今は「2中隊(にちゅうたい)」または「2中(にちゅう)」で《第2中隊》を略している意味で通じますが、本来の意味で「2中隊」とは「2個中隊」すなわち「中隊がふたつ」という意味なのです。《第2中隊》の略だからどうしても「2中隊」と言ってしまいがちで、本来の意味とは違うけれど略称として定着してしまっているのです。

 このように数字の読み方、部隊ナンバーの略し方など、自衛隊独特の言い回しには、とくに法則性は見当たりません。旧軍から引き継いだ言い回しのほかに、自衛隊の歴史の中で独自に形成されてきた言い回しもあって、それが代々引き継いで使われています。耳で聞いて慣れるほか、正しく聞き分ける方法はないようです。


前の独り言次の独り言
トップメルマガ登録

Copyright (C) 2000-2004 OGK All Rights Reserved

軍事情報メルマガある通信兵のおはなしひらやんのブツクサ独り言「日本列島波高し」〜元幹部自衛官のコラム軍事関連知識集年代表情報資料メルマガバックナンバー硫黄島戦不肖・宮嶋支援HPおすすめ書籍めろんぶっくす心と体の危機管理