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 バックナンバー一覧メルマガ登録・解除・変更お問合せ 2004/4/28配信
超弩級

 「ずば抜けた」とか「ケタ外れに大きい」ことを表現するときに「超ド級」という言葉がよく使われます。大多数の方々には釈迦に説法かもしれませんが、この語源をよく知らないまま感覚的に使っている世代も多いようです。

 そもそも「超ド級」とは「ド級艦」を超えるという意味です。その「ド級艦」とは、日露戦争直後の1906年にイギリスで建造された戦艦「ドレッドノート」(排水量17.900トン)で、その後の大艦巨砲主義のきっかけにもなりました。

 ドレッドノートの出現は、従来の軍艦が一挙に時代遅れになるほどの衝撃を各国に与えました。各種中口径砲を全廃し、単一巨砲多数を艦の中心線上に配置。遠距離砲戦で圧倒的な優位を得たことと、動力装置に初めてタービンを採用し高速を実現するなど革新的な技術が取り入れられており、日本ではドレッドノートクラスの艦を「ド級」、それを上回る性能の艦を「超ド級」と言うようになりました。日本の軍艦では、イギリスに発注して建造された「金剛」型以降の艦が「超ド級」艦で、それ以前の艦を「前ド級」艦といいます。漢字では「超弩級」と書かれますが、ドレッドノートはイギリスの戦艦なので「弩」はもちろん当て字です。また「超ど級」と平仮名で書かれる場合もありますが、外国艦であることを考えると、やはりカタカナで「超ド級」と書くのが自然でしょう。

 ちなみに「弩」とは中国の戦国時代以降に用いられた機械仕掛けの弓のことで、その当時としては革新的な飛び道具だったと思われます。ドレッドノートも30センチ砲10門という重装備を誇ることから、革新的という意味をこめて「弩」の字が当てられたのではないかと言われていますが、真偽のほどは定かではありません。

 この「超弩級」という言葉の響きから、「どケチ」や「どあほう」など言葉を強調する接頭語の「ど」のイメージと重なりがちです。接頭語の「ど」は江戸時代から関西地方にある俗語で、時代的にも「超弩級」と結び付けるには無理があります。

 余談として、ドレッドノートが建造当時どれくらい強かったかを数学的に検証する方法があります。

 英国学士院会員で法学博士でもあり、簡潔な数式によって戦闘を計算できることを発見したフレデリック・ウィリアム・ランチェスター(Frederick Wiliam Lanchester/1868〜1946)の「ランチェスターの法則」で計算を試みた人がいます。前弩級艦10隻vs弩級艦10隻という条件で計算した場合、前弩級艦全滅、弩級艦3隻沈没という結果になったそうです。もっともあくまで計算上の数字であり、実戦だとまた違った結果になるでしょう。

 世界の海軍史に多大な影響を与えたドレッドノートは、第一次世界大戦に投入されたものの、さほど特筆すべき活躍はできなかったようです。


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