ひらやんのブツクサ独り言   ON WEB
 バックナンバー一覧メルマガ登録・解除・変更お問合せ 2004/5/26配信
真に平和を欲するなら……

 全国無防備地域宣言運動――という市民運動が、大阪を中心に関東と北海道、そして四国の一部地域で展開されています。私がこの運動を知ったのは、全くの偶然でした。所用があって地元の区役所へ行ったとき、入り口で署名運動をやっている3人組の男性がいました。彼らが誇らしげに立てている幟に「戦争非協力の街」「無防備地域宣言」と染め抜かれているのを見て、この手の運動ならきっとホームページを開いているに違いないと思い検索してみたところ、やはりありました。

 運動の主体となっている団体はいくつかあるようですが、根っこでは一本化されているようです。

 誤解のないように申し上げておきますが、私はこの運動そのものを妨害する意図はありません。ここで問題にしたいのは、彼らの言う「無防備」が果たして本当に平和と結びつくか否かということです。

 全国無防備地域宣言運動のHPからリンクされている「大阪市無防備条例直接請求署名運動」のHPに掲載されているQ&Aから運動の主旨を読み取って私なりに解釈したところでは『ジュネーブ条約に定める一定の条件を満たして「無防備都市宣言」をすれば、一切の攻撃が禁止される。無防備都市宣言は地域単位でもできる。大阪市はほぼ条件を満たしているので、攻撃されるのを防ぐことができるだけでなく、戦争協力に対して「NO」の意思表示をする手立てにもなる』ということで、「だから平和が実現できる」ということなのだそうです。その実例として、太平洋戦争の末期に米軍が沖縄に上陸する前、慶良間列島の前島に上陸した際、この島に軍の施設はなく1人の日本兵もいなかったため米軍の攻撃を免れたことと、コスタリカの非武装中立が挙げられています。まずコスタリカについては、決して非武装などではなく国の規模と国力に見合った防備を自前で持っているほか、米軍の傘下で安全保障政策が執られています。

 前島については実際に米軍が上陸して占領しているわけですから、その事実こそが「攻撃を受けた」ことの証です。島を守備する戦力が置かれていなかったために「戦闘が行なわれなかった」だけのことです。

 ジュネーブ条約では確かに無防備の一般市街地への攻撃を禁じています。攻撃は禁じていますが、占領は禁じていません。すなわち、攻撃しなければ占領していいことになります。
「攻撃が禁止されている都市の占領なんて許されるはずがない」というのは、平和ボケした日本人にしか通じない言葉遊びにすぎません。「禁止されていないのだから、やってもいい」――こう解釈するのが世界の常識です。
 では実際に占領されたらどうなるか。

 無防備都市宣言は事実上の無条件降伏を意味します。抵抗を放棄するのですから、これは当然でしょう。相手は侵略者であって、決して解放軍などではないのです。占領された地域は侵攻してきた国家の統治下に置かれ、日本国民として享受してきたあらゆる便宜や権利、自由の類は大きく制限され又は否定されます。占領軍による理不尽な徴用や徴兵があるかもしれません。もちろん「断る権利」なんてありません。個人資産の凍結や剥奪、暴力、報道管制、その他、今の日本では当たり前のことが認められなくなります。それらのことを不当だと訴える相手も手段もなくなります。

 たとえ生命を保証されても、そんな状況の中で「ただ生きてるだけ」が平和といえるでしょうか。
 
興味のある方は――

 無防備地域宣言をめざす大阪市民の会
 http://homepage3.nifty.com/muboubi_osaka/index2.html
 無防備地域宣言運動全国ネットワーク
 http://peace.cside.to/index.html


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