ひらやんのブツクサ独り言   ON WEB
 バックナンバー一覧メルマガ登録・解除・変更お問合せ 2004/6/2配信
評価に値する成果

 去る5月22日、小泉首相が二度目の北朝鮮訪問をして、拉致被害者の家族のうち5人を日本へ連れ帰りました。死亡されたとされる拉致被害者の安否や、米国政府が脱走兵と認定している1人については、残念ながら今後の課題として残りました。

 拉致被害者を取り戻すため具体的な行動に出たのは、歴代首相の中で小泉首相が最初で唯一であり、3家族5人の帰国に続いてその家族5人の帰国をも実現させたことは、確実に前向きな1歩であると断言できます。

 ある日突然肉親を奪われ、無事を信じながら帰りを待ち続けた家族の方々の心情は察するに余りあります。今回も「帰ってくるかもしれない。帰ってこなくても、安否が分かるかもしれない」という期待が大きかった分、落胆も大きいでしょう。だからといって今回の訪朝を「失敗だ」とか、言うに事欠いて「子供の使いに等しい」と批判するのは、いかにも狭量で身勝手が過ぎるような気がします。

《北朝鮮拉致被害者を奪還する掲示板》というサイトがあります。小泉首相を乗せた政府専用機が羽田に着陸する前後あたりには、今回の再訪朝には成果があったという書き込みがいくつかあり、逆に批判も多く書き込まれていました。
私も前述のような意見を書き込みました。ところが数分を経ないうちに、サイトの管理人によって削除されました。他にもよく見ると、小泉批判の書き込みだけが残っています。私はすかさず再書き込みしました。そしてまた数分後には削除されました。消されては書き、書いては消されるという繰り返しが30分ほど続いたとき、その掲示板は表示モードに切り替えられており、新規の書き込みができないように設定を変えられていました。そして「あらしが多発していますので、削除対象に該当する方は投稿を御遠慮ください」のメッセージと共に、私が書き込んだ投稿のタイトルが挙げられていたのです。

 拉致被害者の安否が分からなかったことの腹いせに、はじめに小泉批判ありきで、小泉首相を少しでも評価する書き込みを徹底的に排除するという姿勢に大きな失望を覚えました。

 拉致被害者の救済運動に異議を唱えるつもりは毛頭ありませんし、むしろ積極的に支援したいと思っています。しかし当事者のこのような態度を目の当たりにしてしまうと、運動の方向性が本筋からズレはじめているのではないかとの懸念を禁じ得ないのです。

 日本人を拉致したのはそもそも北朝鮮であり、日本政府の責任ではありません。最初の訪朝から1年7ヶ月もかかってしまったけれど、国家対国家の関係で全ての問題が一挙に解決されることはありません。まだまだ時間がかかります。今回の5人の帰国をもって、小さいけれどまた1歩進んだわけです。これは後退ではありません。小さな1歩です。必要以上の批判に晒すことによって、首相に次の1歩をためらわせてはなりません。

 家族の安否が分からなかった。帰国を果たせなかった。その落胆がいかに大きなものであるかは察するに余りありますし、つい感情的になるのも分かりますが、国と国との関係において「今すぐの解決」はまずありえないのです。

 マスコミは小泉批判論に注目しがちです。感情的になっている拉致被害者の家族のほうがインパクトがあるし、言葉は悪いですが「絵になる」というのが本音でしょう。しかし「事実を公平公正に伝える」という報道の本分を忘れないように心がけてほしいと思います。


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