ひらやんのブツクサ独り言   ON WEB
 バックナンバー一覧メルマガ登録・解除・変更お問合せ 2004/6/9配信
お門違い

 今年4月、市民団体のメンバーとフリージャーナリストの2人がイラクで一時拘束されました。幸い無事に解放されて帰国しましたが、航空費用は外務省が立て替えているので、当然に本人が支払う義務があります。

 6月8日に時事通信社が配信した記事によると、この2人のうち市民団体のメンバーのほうが国を相手に訴訟を起こし、帰国の際の航空費用を支払う義務が無いことの確認と、自衛隊を派遣したために身柄を拘束され苦痛を受けたことの慰謝料として500万円の支払いと併せて自衛隊派遣の差し止めを求めているそうです。

 彼は自衛隊のイラク派遣を「違法」だと言っています。自衛隊はいわゆる「イラク特措法」に基づいて派遣されているので、派遣自体は違法ではありません。もし批判の対象を求めるならば、自衛隊を派遣したことではなく法律が制定された経緯や関連する法令、そして憲法との兼ね合いがポイントになるはずです。もっとも私は、「イラク特措法」は武器の使用基準など内容が不充分とは思いますが、違憲とも違法とも思っていません。

 それからイラクへの渡航に関しては、自粛勧告が再三にわたって出されています。つまり「危ないから行かないほうがいいですよ」と言われているのに、勝手に勧告を無視したために拘束されたわけです。帰国の費用を外務省に立て替えてもらっているにもかかわらず、守ってくれるのは国の責任だから自己負担はしないと言って意地を張ってるわけです。誤解を恐れずに申し上げるなら、言葉は悪いですが「盗人たけだけしい」とは、まさにこういうことを言います。もし国から救いの手が差し伸べられていなければ自分の生命がどうなっていたか、彼はよく考えなければなりません。

 自衛隊は国の法律に基づいて設置されている国の機関であり、その行動もすべて法律に基づいて行なわれています。一個人の感情で活動の差し止めを求めることなどできるはずもなく、しかも自分が拘束された原因とする訴訟理由にもそうとうな無理があります。

 ここからは私の印象ですが、つまり彼は、自分が属する団体と自分自身が非難のターゲットとしている国家によって生命を助けられたことが単純に「面白くない」のであって、今回の訴訟も多分に「腹癒せ」的なものではないかと思っています。「オレは国に恩義なんか感じていないんだぞ!」と。

 もし本気で「自分が拘束されたのは自衛隊のせいだ」と思っているのだとしたら、とんだお門違いです。一緒に拘束されたジャーナリストは、さすがに危険を覚悟の上での活動だったのでしょう。ピントの外れた責任転嫁は、今のところ(6月8日現在)していないようです。


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