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 バックナンバー一覧メルマガ登録・解除・変更お問合せ 2004/6/30配信
幹部食堂のメニュー

 陸上自衛隊の食堂には「曹士」用の一般食堂と「幹部」用の幹部食堂があります。

 この食堂では朝・昼・晩の1日3食の食事が毎日提供され、自衛官たちを栄養面で支えています。食事を作るのは業務隊の糧食班ですが、調理作業を実際に行なっているのは、各部隊から差し出された作業員たちです。調理作業員はおおむね3ヶ月交代の勤務で、陸上自衛隊に勤務した人ならば、たいてい糧食班勤務を経験しています。

 私が現職の時代、隊員1人の1日あたりの食費は、約1000円だといわれていました。もっとも食堂で無料で食事を受けられるのは、営内居住の陸曹と陸士、そして当直や警衛などで駐屯地内に留まっていなければならない営外居住者です。自衛隊で「メシがタダで食べられる」と言われているのは、給与の一部として食事を現物支給されている営内居住の曹士なのです。

 結婚して営外居住になると、食事の現物支給はなくなります。朝と夜は自宅で、昼は愛妻弁当という人が多いようです。

 ところが幹部は、たとえ独身でも営外居住が原則ですから、はじめから食事の現物支給はありません。任官したての若い幹部は、安月給をやりくりして民間のアパートを借りるか、もし空きがあれば官舎で独り暮らし。わびしい食生活を送っているのが実態なのです。

 しかし、自分のメシはなにがなんでも自分で面倒みろというわけではなくて、実費を払えば糧食班の食事を食べられます。独身の若い幹部は、どうせ面倒をみてくれる奥さんも彼女もいないというわけではないでしょうが、糧食班のお世話になる人が多いのは事実です。

 一般食堂と幹部食堂の裏は厨房で繋がっていて、幹部食堂にはだいたい2〜3人の担当が付きます。メニューは一般食堂と同じで、幹部だからといって余分に何か1品つくことはありません。むしろ入隊したばかりで教育訓練に明け暮れている、いちばん下っ端の新入隊員のほうが、ジュースや果物など1品多く付けられるくらいです。

 一般食堂では、ご飯やおかずなどを自分で取り分けて席につきます。ですから、腹が減ってしょうがないときはご飯を多めに取ったり、おかずの皿もあるていど自分で選ぶことができます。

 一方、幹部食堂では、糧食班の作業員がご飯やおかずを取り分けて、お盆の上に載せた状態で幹部に手渡します。さすがにテーブルまで運ぶサービスはありませんが、自分で取り分ける手間をかけないように配慮されているのです。

 しかし、食堂に来る幹部たちの話を実際に聞いてみると、このような処遇は「サービス過剰だよね」といいます。

「メシは自分で食いたいだけ取りたいし、腹の調子が悪いときは、おかずを少し減らしてほしいときもあるんだよ」

 おそらく、これが本音でしょう。私が糧食班で勤務していたとき、一般食堂ではご飯やおかずをおかわりする人がいたのに対し、幹部食堂では遠慮があるのか、お茶のおかわりすらありませんでした。


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