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 バックナンバー一覧メルマガ登録・解除・変更お問合せ 2004/7/7配信
《多国籍軍》って何だ?

 去る6月28日、イラクを統治する連合国暫定当局からイラク暫定政権へ主権が委譲されました。同時に自衛隊は、多国籍軍へ参加することになりました。

 さて、この多国籍軍という「軍隊」は、国連軍とどう違うのでしょうか。記憶に新しいところでは湾岸戦争は、1990年にクウェートに侵攻したイラク軍と米英を中心とする多国籍軍との戦いでした。

 多国籍軍(multinational forces)を辞書で引くと「国連安全保障理事会の決議や勧告を受けて複数の国が合同で編成する軍隊」とあります。つまり複数の国が合同で編成し、各国の責任で派遣するのが多国籍軍です。しかし実際に各国バラバラで活動していると、いろんな不都合が生じますから、どこかで一元指揮を執る必要に迫られます。湾岸戦争のときに編成された多国籍軍は、事実上米軍の指揮下で活動していました。イラクでも当然のように、米軍の指揮の下で多国籍軍が運用されているようです。自衛隊が多国籍軍に参加するのは、自衛隊創設50年の歴史の中で初めてのことです。

 一方、国連軍とは国際連合が管轄する軍隊のことです。国連の安全保障理事会は「国際の平和と安全を維持または回復するために必要な行動をとることができる」と規定されており(国連憲章第42条)、国連憲章第43条によって安保理と協定を結んだ加盟国が安保理の要請に従って軍隊を提供することになっています。

 しかし2004年現在、安保理と協定を結んでいる国は皆無であり、過去においても国連憲章に基づく国連軍が組織されたことはないのです。

 1950年に勃発した朝鮮戦争では16カ国からなる国連軍が派遣されましたが、正しくは多国籍軍であり国連憲章に基づく国連軍ではありませんでした。朝鮮戦争後にも1956年「スエズ危機」、1960年「コンゴ動乱」、1964年「キプロス内戦」、最近では2003年「コンゴ民主共和国内戦」介入のためにフランス軍を中心として派遣されていますが、いずれも多国籍軍であり国連軍ではありません。

 自衛隊の多国籍軍参加について小泉首相は「(自衛隊は)日本の指揮で動く」と発言したのは、実際に可能かどうかは別として、理屈としては正しいのです。
 
 参考
 国際連合憲章
http://www.lares.dti.ne.jp/~m-hisa/home/strategy/charter/


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