ひらやんのブツクサ独り言   ON WEB
 バックナンバー一覧メルマガ登録・解除・変更お問合せ 2004/7/14配信
レーション

 自衛隊には「レーション」と呼ばれる戦闘糧食があります。俗に「非常食」とも呼ばれるものですが、正しくは戦闘行動中に前線で食べることのできる携行食です。また災害時には、被災者のために在庫のレーションを提供することがあります。阪神淡路大震災のときは、海上自衛隊艦艇の風呂釜で湯煎した缶詰が大量に提供された事実があります。

 私が現職時代を過ごした昭和50年代後半には、戦闘糧食といえばカンパンか缶詰しかありませんでした。ちなみにカンパンは旧軍時代から引き継がれた唯一のレーションで、自衛隊用のカンパンはビタミンの含有量を若干増やしてあるそうです。

 缶詰には白飯、赤飯、五目飯、しいたけ飯、とり飯などのメニューがあり、食べる前に25分ほど湯煎する必要があります。中身は約400グラムほどで、缶の中にぎっしり詰まっていて、これが1食分です。これに副食と漬物の缶詰が1個ずつ付くので、一般の人には少々おなかにもたれる量かもしれません。警察予備隊時代には焼き飯やドライカレーの缶詰も採用されていたそうですが、油の匂いが不評で、やがて姿を消してゆきました。

 戦闘糧食にはT型とU型があります。T型は従来からある缶詰のことで、U型はレトルトパックの携行食をいいます。レトルトパックは缶詰のように嵩張らず、また缶詰に比べて軽量なのが特徴です。しかも飯は2パックで1食分として配食されるので、2回に分けて食べることができます。残した分の封を開けなければ数日間は柔らかいまま保存できるし、衛生面でも優れています。

 戦闘糧食U型は副食、漬物、サラダ、固形スープがそれぞれ別々にレトルトパックされたものをOD色の袋に詰めてあって、前述した飯のパックと一緒に配食されて1食分になります。缶詰時代と比べてゴミの始末が楽になりましたが、演習場でこれを食べるときにいつも思うのは、固形スープの配慮には感謝しつつも、実際にはスープは邪魔だなあということです。各自で飯盒を持っていても、そもそも火を使える状況ではないからレーションを食べているのです。
お湯を沸かさなければ飲めない固形スープには、改善の余地が存分にありそうです。

 聞くところによれば、米軍のCレーションみたいにチョコレートやガムなどデザートをつけるには予算の制約があるので、せめてもの心づくしとして固形スープが添えられているのだといいます。

 少なくとも私の周りでは、固形スープはいらないから、代わりに手軽に食べられるものをもう一品つけてほしいという声が多いのも事実です。

 それはそれとして、演習で状況に入ってしまえば、食べることが唯一の楽しみになります。レーションを家庭の食卓に乗せても、ちっともおいしくありません。演習場で食べても特別おいしいことはないのですが、それでもホッと一息つけるひと時は貴重な時間です。次の行動に向けて活力を得られる。それがレーションの大きな役割のひとつでしょう。


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