ひらやんのブツクサ独り言   ON WEB
 バックナンバー一覧メルマガ登録・解除・変更お問合せ 2004/9/29配信
即応予備自衛官の苦悩

 軍隊には常備兵力と予備兵力があって、前線で損耗した兵力をいつでも前線に補充できる体制を整備しておく――これは世界の軍隊の常識です。自衛隊が軍隊であるか否かという議論はともかくとして、日本でも「予備自衛官」という制度があります。その数、陸海空合わせて約4万5千人といいますから、甚だ心もとないかぎりです。しかも訓練日数は年間5日と、諸外国の予備役兵と比べても極端に短く、その任務も警備や輸送などの後方任務にかぎられていました。

 さすがにこれでは心細すぎるというので、前線での戦闘任務に用いることのできる練度を備えた新しい予備自衛官の制度が必要になり、平成11年度に発足したのが「有事に即応する予備の自衛官」、すなわち即応予備自衛官制度です。
既存の予備自衛官や元自衛官から志願者を募って、平成22年度までに全国で1万5千人を集める計画でした。

 即応予備自衛官には定められた所属部隊があり、年間30日の訓練も部隊単位で行なわれます。部隊の主力または一部を即応予備自衛官で構成する部隊を「コア部隊」といい、ふだんは部隊長と基幹要員が勤務しています。所属する即応予備自衛官は、平時においては訓練出頭の義務がありますが、出頭命令を受けていない間、すなわち訓練・防衛・治安・災害出動等の命令を受けていない間は部隊に隷従する義務はないとされています。

 それでも訓練のために年間30日をひねり出すのは、なかなか大変なことです。
とくに会社勤めをしている即応予備自衛官は、なるべく土曜と日曜に重なるように出頭日を調整し、さらに有給休暇をフルに使ってやっと訓練日程を消化しています。自衛隊に理解のある雇い主ならば、

「国のためだから、当然に(訓練に)行くべきだ」

と言ってくれ、特別休暇扱いで快く送り出してくれる職場もあるといいます。

 即応予備自衛官が勤める職場では、概ね理解はされているようです。しかし人それぞれ考え方がありますから、雇い主が「自衛隊OK」と言ってくれても、同僚の中には面白くないと思っている人がいる場合も当然にあるわけです。

 職場の微妙な人間関係と訓練出頭をいかにすり合わせて即応予備自衛官でありつづけるか。これはまだ当分の間、即応予備自衛官たちの悩みのタネとなるでしょう。

 自衛隊が国民から真に理解され支持されるのは望ましいことに違いはありません。しかし表舞台に出て目立ちすぎるよりは、あくまで縁の下の力持ちに徹し、いざというときに頼れる存在として温かく見守られているのが国民と自衛隊の最も良好な関係ではないかと愚考する次第です。


前の独り言|次の独り言
トップメルマガ登録

Copyright (C) 2004 OGK All Rights Reserved
軍事情報メルマガある通信兵のおはなしひらやんのブツクサ独り言「日本列島波高し」〜元幹部自衛官のコラム軍事関連知識集年代表情報資料メルマガバックナンバー硫黄島戦不肖・宮嶋支援HPおすすめ書籍めろんぶっくす心と体の危機管理