ひらやんのブツクサ独り言   ON WEB

陸上自衛隊即応予備自衛官のエッセー「ひらやんのブツクサ独り言」は、陸上自衛隊、軍事関連ニュースの理解・軍事研究に役立つ情報を、メールマガジン「軍事情報」でお届けしています。
 バックナンバー一覧メルマガ登録・解除・変更お問合せ 2004/10/13配信
批判の理由がワカラナイ…

 関西ローカルのテレビで早朝から放送されている情報番組に、レギュラー出演しているレフト系のジャーナリストがいます。体制批判こそがジャーナリズムの正義だと信じ込んでいるらしく、感情に任せて大声でまくしたてるだけ。
事実関係についてろくに検証していないばかりか、予備知識の不足も甚だしいものがあります。

 10月4日に沖縄で発生した米空軍のF15空中接触事故についても、日本人ジャーナリストの多くがそうであるように、皆無に等しい軍事知識を駆使(?)して批判しておりました。

 話を要約すると「もし市街地へ墜落して一般の人に死傷者が出たら、日本政府の責任も重大だ」というのですが、はたしてそうでしょうか。


 このWEBページをまずご覧ください。
http://www.okinawa-u.ac.jp/~tsuchida/suit-info/usbase2.html


 米軍機の訓練空域を示してあります。
 接触事故を起こすほどですから、移動中の事故ではありません。この稿を執筆している時点においては新聞でもテレビでも詳しく報道されていませんが、接触するほどですから空中戦を訓練していたと思われます。

 戦闘機の特性は、俊敏な機動性を活かした空中戦闘を行なうことにあるので、そのための訓練は戦闘機パイロットにとって欠かすことはできません。さらに訓練空域は一部の射爆撃場を除いて沖縄本島からも近隣の島々からも遠く離れた位置に設定されていて、たとえ墜落しても陸の上には落ちません。また射爆撃場も、当然に市街地の近隣には設定されません。

 にもかかわらず、マスコミは「(事故が)沖縄本島近海の上空で発生した」と報じています。
「近い」「遠い」の感覚は人それぞれであり、本島近海の上空をあたかも陸地スレスレと思う人もいるはずです。なんとでも解釈できる曖昧な表現を使う報道姿勢にも疑問を禁じ得ませんが、私が人間的に許しがたいと思ったことが1つあります。

 前出のジャーナリスト氏は「米軍機」が「事故を起こした」ことのみを強調し、あげくには原因も機体も異なるのに8月13日に起こったヘリコプターの墜落事故と無理やり関連づけて、批判の矛先を日本政府に向けているばかりか、破損した機体を操って嘉手納基地へ生還したパイロットの安否については全く触れていないのです。

 事故機の一方は垂直尾翼を2枚とも破損し、もう一方の機は主翼と水平尾翼を破損し機体にも亀裂を生じていたといいます。破損した機体の操縦は不自由であるばかりでなく大きな危険が伴います。そんな機を操縦して無事に帰還したパイロットの無事をまずは喜ぶべきであって、間違っても批判の対象にしてはなりません。むしろその操縦技量に敬意を払っても良いでしょう。パイロットたちは自己の任務を全うするために訓練をしているだけです。ここぞとばかり基地問題と結び付けて、ホームページまで開いて批判するのはいささか感情が先走りすぎているように思えます。パイロット個人の生命と政治的な問題は、切り離して考えるべきではないでしょうか。


前の独り言次の独り言
トップメルマガ登録

Copyright (C) 2004 OGK All Rights Reserved
軍事情報メルマガある通信兵のおはなしひらやんのブツクサ独り言「日本列島波高し」〜元幹部自衛官のコラム軍事関連知識集年代表情報資料メルマガバックナンバー硫黄島戦不肖・宮嶋支援HPおすすめ書籍めろんぶっくす心と体の危機管理