ひらやんのブツクサ独り言   ON WEB
 バックナンバー一覧メルマガ登録・解除・変更お問合せ 2003/9/29配信

体験入隊 その2

 朝夕に国歌の吹奏で国旗を掲揚したり降下するという習慣も、ふつうの企業ではあり得ない光景です。

 ある日の夕方、所用があって私は国旗が降りる時間より早く食事をとる必要がありました。
 食堂へ入ったのは、あと2〜3分で午後5時になろうかという時間。体験入隊に来ている一団が、すでにテーブルについて食事を始めていました。教官の計らいで、その日の訓練が早めに終わったのでしょう。

 私が茶碗にメシをよそっているとき、スピーカーから「気をつけ」のラッパ号音が響いてきました。食堂内にいる者は全員動作をやめ、国旗の方向に正対。
すでにテーブルについている者は箸を置いて、座ったまま背筋を伸ばして不動の姿勢をとります。厨房では食器洗い機をはじめ、運転中のすべての機械を止めて、作業員も国旗の方向へ正対します。そして「君が代」が流れている間は国旗が降ろされているので、たとえその場から国旗が見えなくても微動だにしてはいけないのです。

 時間の流れが止まってしまったかのような静寂に包まれた食堂の一角で、体験入隊の一団は「なにが起こったんだ?」と眼を点にしながらも、誰ひとり箸を止めることなく食べ続けていました。
「食べていていいのかな?」と言いたげな不安そうな表情で、あたりをキョロキョロと見回していた彼らの目には、あのときの食堂はきっと異次元の世界に映ったことでしょう。

 ちなみに、もし教育中の新入隊員が彼らと同じことをしたら、まずタダでは済みません。想像するだけでもオソロシイ……。


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