ひらやんのブツクサ独り言   ON WEB
 バックナンバー一覧メルマガ登録・解除・変更お問合せ 2003/10/8配信

おいしいゴハンの炊き方?

 飯盒で炊いたメシはうまい。これは定説ですが、ではどう炊いたらうまいメシになるのか、実際にやってみた人は意外に少ないのではないでしょうか。

 即応予備自衛官の訓練で、飯盒メシの炊き方を実験するという面白い試みが行なわれました。

 7月の半ば、和歌山県の某海水浴場の片隅で、即応予備自衛官を対象に水難救助訓練が行なわれました。同じ日程で、飯盒メシの炊き方実験も行なわれました。飯盒でメシを炊くときは、ふつう、米を真水で洗って真水で炊くのが一般的です。しかしこのときの実験では、次の3とおりの方法が試されました。

その1……米を真水で洗って真水で炊く。
その2……米を海水で洗って真水で炊く。
その3……米を海水で洗って海水で炊く。

 これらの方法を3つの班に分かれて、炊き上がりを試したのです。海水と真水の使い分けによる炊き上がりを試すのが実験の目的なので、火加減はさほど重視していませんでした。海岸に転がっている石でカマドを組んで、飯盒の下から固形燃料で加熱します。このとき中の水が沸騰して吹きこぼれてくるまでの時間を計測し、さらに火からおろすまでの時間も計っておきます。

 私の班は「米を海水で洗って真水で炊く」のを担当していました。火にかけてから約3分ほどで吹きこぼれてきて、しばらくのあいだ白い泡がブクブクと吹き出していました。やがて湯気に香ばしい匂いが混ざり始めたので火からおろし、飯盒を逆さにひっくり返して蒸らすこと10分。他の班もおおむね炊き上がってきたようです。

 吹きこぼれるまでの時間を計測して分かったのは、真水と海水では沸騰するまでの時間にかなりの差があるということでした。海水は沸騰するまでに時間がかかり、心なしか吹きこぼれも少なかったようです。炊き上がるまでの時間も、少し長めにかかっていました。

「よーし、炊き上がったら、各班で試食はじめ」
すべての班が炊き上がったのを見て、教官が試食を指示しました。

 私の班は真水で炊いてあるのですが、食べてみると薄い塩味が付いていました。米を洗ったときに、どうしても飯盒の底にほんの少し海水が残ったためでしょう。また、米がわずかに海水を吸っているようです。この塩加減が絶妙なバランスで、ほどよい塩味になっていました。

「おい、こっちのも食わせてくれ」

 みんな他の班のメシも気になるので、誰に言われるともなく箸を持って、ひと口ずつ味見をしてまわりました。

 真水で洗って真水で炊いた飯は、水加減を間違えたのか少し柔らかめでしたが、とくにどうと言うことのないふつうの白飯でした。一方、海水で洗って海水で炊いた飯はというと、これまた水加減を間違えた上に焦げ付いていました。

中には「うまい」と言う者もいましたが、そのままではとても塩辛くて私の口には合いませんでした。ゴハン粒の芯にまで塩味が染み込んで、お茶漬けにすれば程よい加減になるかもしれません。

 みんなが口をそろえて「うまい」と評判だったのは、やはり私の班で炊いたメシでした。ただ、海水で洗うといっても、海が汚れていたら話になりません。
海のキレイな場所だったからこそできた実験でした。

 余談ですが、自衛隊で訓練中の食事を賄うための飯盒炊さんをすることはありません。調理済みの温食が後方から運ばれてくるので、それを受け取るための食器代わりに飯盒が使われることがあります。あるいは状況に入る前に2〜3分の戦闘糧食が支給されて、自分で時間の合間を見て食事をとることが多くなっています。

 また戦車やAPCなどの車輌部隊では、外から見えないのを幸い、車内で飯盒を使ってコーヒーを入れたり、インスタントラーメンを作ったりすることもあります。


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